川和団地1号棟

川和団地の所在は横浜市都筑区川和町です。 開発主体は神奈川県住宅供給公社で、1969年-昭和45年の建築となっていることから、旧耐震の壁式構造としても初期の開発マンションです。

最寄り駅は横浜市営地下鉄「川和町」駅から徒歩で8分の近距離にあり、周りを公園に囲まれて敷地内には公園も配置され、子育てには適した環境といえるでしょう。

依頼人は港北区に営業拠点を置き、港北区や都筑区をメインに事業展開をする地元の不動産会社様です。この会社様からはこの界隈の物件を過去に数件依頼されています。

川和団地は当然のことに壁式構造ですが、この構造形式には二つの構造様式があります。他のページでもたびたびご紹介していますが、一つは「現場打壁式鉄筋コンクリート造」で、他の一つは「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」です。川和団地は「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」で建てられていました。

どちらも壁式構造ですので基本的な審査方式は同じですが、違うところが一つだけあります。それはコンクリート躯体の強度確認の有り無しです。 すなわち、「現場打壁式鉄筋コンクリート造」ではこの試験は必要ですが、「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」では不要です。

川和団地1号棟

なぜに構造様式によってこの違いが出るのかといえば、コンクリートの作り方の違いによるのです。 普通に現地で作る「現場打壁式鉄筋コンクリート造」の場合では屋外作業が基本のため、厳しい気象条件から逃れることはできません。その一番大きな影響を受けるのは雨です。

現地でコンクリートを打設して築造するのが「現場打壁式鉄筋コンクリート造」ですが、コンクリート打設中に雨に見舞われるとコンクリート中に含有する水分量が大きくなります。これが強度低下に大きな影響を与えるのです。要するに水分量が大きくなるほど強度低下が大きくなります。

一方で「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」は工場にて「床コンクリートパネル」「壁コンクリートパネル」を製作するので雨の影響を受けることはありません。雨による影響は皆無です。

こんなことから、「現場打壁式鉄筋コンクリート造」に限って躯体の強度試験の実施が求められます。そんなことで、川和団地は「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」なのでこの試験を省くことができました。

現地は、この時代の団地に例にもれず住棟の間隔がとても広く、5階建て以下の作りになっているのでとても開放感があります。 川和団地は1号棟から13号棟まで13の住棟で成り立っていて、敷地内に児童公園と集会所が配置され、古いとはいえ小さな子育てには申し分のない団地です。

旧耐震では本来なら「耐震基準適合証明」の対象外となりますが、この住宅は上記の通りに壁式構造であるため、国土交通省の認める「簡易耐震診断法」をクリアーすることができたので、証明書の発行が可能となりました。 旧耐震のハンディキャップを乗り越えることができる団地ですので、売買価格以上の価値ある物件といえるでしょう。