鎌倉グリーンハイツB3

鎌倉グリーンハイツの所在は鎌倉市梶山です。JR北鎌倉駅から南西方向へ直線距離では1.5キロほどでしょうか。多分鎌倉山と言われる山の中腹にあります。 広大な山の自然な丘陵を巧みに利用した団地郡です。名前の通りとても自然が豊かでとてもすぐ近くに都会があるとは思えないほどに自然が豊かです。幼い子供の情操教育にはピッタリかもしれませんね。 

依頼人は、この住宅の購入希望者の方でした。 この鎌倉グリーンハイツが気に入って売買契約を考えているとのこと。しかしながら不動産仲介会社の担当者から、旧耐震マンションなので住宅ローン減税は利用できないと知らされて、半分諦めていて念のためにネットで検索したところ、旧耐震に対応できる事務所の当事務所を捜し当てて連絡をくださいました。

築25年が経過したマンションを購入して住宅ローン減税を受けるためには、「耐震基準適合証明書」を確定申告で税務署に提出する必要が有ります。しかしながら「耐震基準適合証明書」は該当の建物が新耐震の基準に適合していることを証明するものなので、そもそも旧耐震の設計基準で作られた建物は対象外になるのです。残念なことに、鎌倉グリーンハイツは旧耐震のマンションなので、対象外のくくりとなってしまうのです。

旧耐震と壁式構造と耐震診断

鎌倉グリーンハイツB3

新耐震と旧耐震について少しばかり説明します。建物は設計図を元に造りますが、その設計図はその時点での建築基準法に適合していることの確認を行います。具体的には所轄の役所の建築課に確認申請をするのです。そして申請されたその設計が現状の建築基準法に適合していれば確認通知書が発行されます。旧耐震と新耐震はその確認通知日で区別されます。具体的には、昭和56年6月1日以降の確認日なら新耐震基準に該当します。逆に昭和56年5月31日以前なら旧耐震となります。残念ながら鎌倉グリーンハイツは旧耐震の範疇に入っています。 そもそも昭和47年に登記されていますので、新耐震では間違ってもありえません。

でも旧耐震でも耐震基準適合証明書の取得が可能な建物もあります。それは構造形式が「壁式鉄筋コンクリート造」で5階建て以下の場合です。その場合では国土交通省の定める「壁式構造の簡易耐震診断法」によって基準をクリアーすれば「耐震基準適合証明書」を取得することが可能です。鎌倉グリーンハイツはまさしくその可能性のある構造形式でした。

旧耐震の壁式鉄筋コンクリートの耐震基準適合証明には、耐震診断を行って基準をクリアーしていることを確認する必要が有ります。耐震診断実施に当たって、設計図(構造図)の閲覧が必要です。設計図等の設計図書は通常では管理組合で保管していますので、設計図の閲覧承諾が必要です。管理組合への閲覧要請は、不動産仲介会社を通じて売主側の要請としてお願いいたしました。管理組合としても初めてのことだったそうですが、鎌倉グリーンハイツの付加価値の向上に寄与することなので快く了承していただけました。

設計図閲覧の結果、鎌倉グリーンハイツは「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」であることが判明し、躯体のコンクリート強度試験を省くことが出来ました。壁式鉄筋コンクリート造には「プレキャスト壁式鉄筋コンクリート造」と「現場打ち壁式鉄筋コンクリート造」の二種類があり、「現場打ち壁式鉄筋コンクリート造」の場合では躯体のコンクリート強度試験で所定の強度があることを実証する必要が有ります。鎌倉グリーンハイツは試験が不要なため、その分の費用が掛からないのでお得でした。

写真の外観でも分かるとおり、とてもシンプルでスクエアな外観をしています。建物と建物の間隔も広く、北側に廊下の無い階段タイプのためプライベートは高いレベルで確保されます。生活利便施設は近くには有りませんが、緑豊かな自然環境は幼い子供を育てるには絶好の住宅だと思います。

ともあれ、購入希望の方は「耐震基準適合証明書」を取得出来ましたので物件購入契約をなさいました。結果、住宅ローン減税はもとより、登記費用減税と不動取得税減税も利用できるようになりました。 「耐震基準適合証明書」のない旧耐震マンションではそれらの三つの税制優遇を受けることが出来ません。 「耐震基準適合証明書」の発行費用は新耐震に較べると若干割高になりますが、大喜びしていただけました。