梶ヶ谷メリア

梶ヶ谷メリアは川崎市高津区の梶ヶ谷二丁目にあります。 このマンションの開発者は東急で、建設やその後の管理も東急グループです。 マンションの名称からして民間です。その名前は洒落ていますから。この当時の壁式構造の開発者は住宅公団や住宅供給公社が多く、名称も「●●ハイツ」や「▼▼ハイム」などがほとんどです。さらにこれらの公的機関の開発は大体が大規模開発が多いです。その点、民間の開発事業では小ぶりが多いです。「梶ヶ谷メリア」もそのような小ぶりな民間の壁式構造のマンションです。

お問い合わせは東京の世田谷区を拠点とする不動産会社様からのものでした。例のごとく旧耐震マンションで耐震基準適合証明書の発行が可能な事務所を探していました。取引のある事務所から、旧耐震なので発行は無理であると引導を渡されたようです。しかたなくネットで検索をしてクランツ事務所を捜し当ててお問い合わせを頂きました。

可能性の有る無しの判定はどのようにする?

梶ヶ谷メリア

弊事務所がお問い合わせを頂いてまず第一に行うことは、その案件が壁式構造か否かの判断です。お問い合わせを頂いた物件が旧耐震のラーメン構造であることも少なく有りません。確認の方法は、「ストリートビュー」で対象建物のの確認を行います。沿道沿いで画像データが明確なら、この段階で適否の判定が可能です。公団や公社のマンションは教科書的な壁式構造が多いため、判定は比較的容易です。しかしながら民間の壁式構造の場合では敷地面積に余裕が無いため、変則的なプランの場合も多いです。梶ヶ谷メリアもそのような構造プランのマンションでした。 このマンションは事前判定で壁式構造であることがわかったので次に進むことが出来ますが、旧耐震のラーメン構造の場合では諦めていただきます。

壁式構造の可能性が高く、外観上から耐震診断に耐えられると判断した後、耐震診断の為の設計図の閲覧承諾を仲介会社様に取っていただきます。梶ヶ谷メリアは小ぶりなマンションのため、マンション管理会社で代理保管がされていました。その東急コミュニティの地域支部は都筑区中川にあり、指定時間に出向き設計図の閲覧をさせていただきました。古い設計図をコピーした設計図を撮影させていただきました。壁式鉄筋コンクリート造で現場打ちであることが判明しました。現場打ちであるために、コンクリートの強度試験が必要です。

現地調査の結果は?

梶ヶ谷メリア

上記の設計データの取得が出来ましたので、その足で現地調査を行います。建物は二棟がL型に接続されていて、接合部はエキスパンションジョイントで繋がっています。対象の住宅は4階建ての棟の3階部分にあり、外観上も構造クラックは無く、エフロレッセンスも見当たりません。適切な維持管理が成されていることを確認できました。設計データとの食い違いも有りません。

現場打ちのため、躯体のコンクリート強度確認を行う必要が有ります。対象の住宅のPSで行いたいためにスチールの点検港を空けたところ、通常ではその内部壁はコンクリートですが、この建物は木造間仕切りとなっていて、普通に行うPSでのコンクリート強度試験が行えません。 仕方なく、共用部分の1階の基礎で実施することになりました。その結果は基準値を十分のクリアーするものでした。これで全てのデータが揃いました。 

梶ヶ谷メリアは民間の開発事業者の物件であるにも拘らず、設計図が健全に保管され、建物の維持状態も良好で、壁式構造の簡易耐震診断においてクリアーすることが出来ました。